ハウスメーカーのスピード感。
よくムスメなんかが、
「ちょっと待って。秒で行ってくる。」
とか言って、
「いやいや、秒はないやろ。」
と。
ハウスメーカーの営業マンさんが、秒でやってきました。
それはそれは人当たりの良い、感じの良い、育ちの良い(知らんけど)ナイスガイで、夫のお友達の紹介だったので、自己紹介もそこそこにいきなり本題に入って、あれやこれやと希望を聞いてもらいました。
前述の通り、これまで何十年にも渡り、理想のマイホームに憧れを抱いてきたわけです。
理想の間取り図を100万枚描いてきたわけです。
渡辺篤史師匠とともに、生きてきたわけです。
要望が止まりません。
あれもほしい、これもほしい、もっとほしい、もっともっとほしいー。
です。
とりあえず、寝室は一階にしたいんです。
寝室には、ダブルベッドとシングルベッドを置きたいんです。
本棚がいっぱいのワークスペースがほしいんです。
家の前に車をとめたいんです。
2台とめたいんです。
玄関横にシューズクロークがほしいんです。
家の真ん中に中庭がほしいんです。
中庭でバーベキューがしたいんです。
中庭でバーベキューがしたいと夫が言ってるんです。
仏様のように話を聞いていた営業マンさんが、
「わかりました。
では、近々測量にお伺いしますねー。」
ハウスメーカーのスピード感は、ハンパない。
測量の業者さんを連れて、自宅に突撃されることになる。
秒で。
測量と、要望と、Yシャツと私。
家を建てるということは、こんなにもサクサクと進むものなのかと。
時間の約束はしてあったものの、営業マンさんが連れてきた初対面の業者さんがザクザクと現れ、あわわあわわと言う間に、プロフェッショナルたちが測量を始めて、戸惑うばかりのワタシ。
もちろん、測量の結果は秒で出て、それをもとに、最初の図面が秒でできあがりました。
前述しましたが、土地がこれです。
↓
そして、要望がこれです。
↓
とりあえず、寝室は一階にしたいんです。
寝室には、ダブルベッドとシングルベッドが置きたいんです。
本棚がいっぱいのワークスペースが以下割愛
いやいやいやいや。
今から思うと、ほんとに申し訳ない。
まさに無理難題。
でも、そこはさすがに大手ハウスメーカーさんなので、出来る限り歩み寄った図面ができあがりました。
びっちぴち。
みっちみち。
でしょうね笑
いろんなものをあきらめて、でもなかなか住みにくそうな、正直「うーん…」という感じ。
すべてのパーツが小さくて、細切れで、どこにいても居心地がよくない感じ。
まぁ、でも家づくりというのはここからつめてくものだろうし、この狭さでこれ以上望むのはいかがなものかと思うし、この方向でがんばっていこう、ということで話が進んでいきました。
でも、お高いんでしょう?
ハウスメーカーさんから言われたのは、この細長い土地に建てるとなると、重量鉄骨ですと。
建物には、ざっくりと、
・重量鉄骨
・軽量鉄骨
・木造
という建て方があって、内容はまさに字の通り。
こちらとしては、木造の小さなものを建てていただければ、くらいのつもりをしていたんですが、そのハウスメーカーさんの内規で、この土地で木造にしようと思ってもあと何センチか足りないので、「重量鉄骨、一択です」と。
狭い土地に目一杯建てようと思うと、「重量鉄骨、一択です」と。
そかそか。
それなら重量鉄骨しかないんだよね。
でも、素人がちょっと考えても、重量鉄骨ってすごく高価なイメージなんだけど、その、やっぱりお高いんでしょう?
!!!!!!!!!!!!!!!
目ん玉、飛び出ました。
50代から35年ローン組んで、極貧シニア生活のはじまりです。
これが望んでたものか?
これが夢のマイホームなのか?
これが穏やかな老後を過ごす終の棲家なのか?
試しに、可能な範囲で木造の見積もりもやっていただいたんですが、価格はそれほど安くなりませんでした。
なんなん?
なんでなん?
ちっちゃな土地にちっちゃな家を建てて、ひっそりと暮らしていこうと思っただけなのに、なんでこんなに極貧生活なん?
すっかり背中が寒くなってしまったワタシ。
家を建てるというのはこんなに恐ろしいものなのだということを痛感し、これまでお世話になったハウスメーカーさんに「家を建てるなんて百万年早かったです」と詫びを入れ、我が家の新築はまったくの白紙に逆戻りとなったのでした。
秒で。
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